小林めぐみをまとめ読み

 星屑はSFミステリ風味コメディ。食卓はSFネタ一発勝負コメディとスラップスティックの短編集。近所の書店を幾つか回ってみたのですが、前者の第1巻がどこにもありません。後者は全巻揃いで簡単に入手できたのに。そもそも富士見ミステリー文庫の点数も少なく、かなり苦戦の模様。内容はどちらもなつかしきSF+青春小説あるいはSF風味ジュブナイルを骨子として、登場人物をライトノベル風にデフォルメした感じで、岬兄悟火浦功を思い出したり。ハヤカワ文庫や角川文庫などで展開されていたSF(風味)小説は、確かにライトノベルの源流のひとつのなのだなぁと今更ながら納得。
 さらにいえば、星屑はライトノベル的に洗練されている感じがします。高貴な幼女の暴走にお守り(重り?)役の少年が巻き込まれ、最終的に謎解きになる構造の富士見ミステリーというと、どうしても別の作品を思い出します。食卓の方は80年代SFコメディ風味を強く残しているのでしょう。女子高生+ビール好き+人妻という属性満載のヒロインも、何となく作品と馴染んでるような設定倒れのような。そうした微妙な加減(ほめてるんですよ)は岬兄悟のラブ・ペア・シリーズに通じるような気もしたりしなかったり。

もうひとつのげんしけん

ヨイコノミライ完全版 4 (IKKI COMICS)

ヨイコノミライ完全版 4 (IKKI COMICS)

 ぺんぎん書房から引き取られて、小学館より書き下ろしを加えて再版。チェックを忘れていて、今更ながら記載。

戯言解析機によるくろやぎさんたらの解析結果

くろやぎさんたらの68%は哀川潤人類最強の請負人で出来ています
くろやぎさんたらの28%は葵井巫女子―巫女子節で出来ています
くろやぎさんたらの4%は貴宮むいみ―優先順位で出来ています

つまり、超比喩96%とヤンキーテイスト4%の混合体だそうです。
そしてなぜか全員クビシメロマンチスト

海堂尊を2作

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

ナイチンゲールの沈黙

ナイチンゲールの沈黙

 前者でメルカトル鮎、後者ではあわせて榎木津礼次郎も登場。あと栗本薫好みの退廃的な歌姫も。

時をかける少女、というか、駆けっ娘!

 機会をつくって、是非、見てきてください。

 感想は一緒に行ったid:genesis:20060724で尽くされていますので、簡単に。
 近年合格点に達している作品が少ない中では健闘しているように思われます。ただし、『時をかける少女』としてはどうかしら。『時かけ next generation』ですので、事前情報なしに見に行った私などは、いつになったらラベンダーが登場するのかしらなどと思っているうちに時をかけちゃったりして、何となく入り込めない気分になってしまいました。前作のヒロインは「魔女おばさん」として登場しますけれども。
 おそらく、原作の(あるいは原田知世の)内容を知っている人には「魔女おばさん」の研究室の片隅に置かれた写真のクロースアップから、そういった第一世代のエピソードを重ね合わせてみることもあるのでしょうね。そして新しい観客にはその深さだけが「タイムリープって、そんなに珍しいものじゃないから」というセリフで暗示されるというつくりになっているのでしょう。
 ちなみに、物語の基本的枠組は『リプレイ』です。

リプレイ (新潮文庫)

リプレイ (新潮文庫)

参考文献

後期クイーン問題に関して

  1. 諸岡卓真「本格ミステリ殺人事件――麻耶雄嵩『翼ある闇』論――」(『日本近代文学会北海道支部会報』6、2003年5月)
  2. 諸岡卓真「九〇年代本格ミステリの延命策」(『ミステリーズ!』第3号、2003年12月)
  3. 諸岡卓真「現代本格ミステリアポリア――後期クイーン的問題の死角」(『日本近代文学会北海道支部会報』8、2005年5月)

研究会当日の議論に関して

  1. 博物士「米澤穂信"Why didn't she ask EBA?"」(id:genesis:20060621)
  2. 浅木原書店の日誌「講演会と時期が被ったのは偶然です。」(id:asagihara:20060621)