『愚者のエンドロール』における後期クイーン的問題への覚え書き
本作の構造の確認
〇 アバンタイトル
- チャット1(ログナンバー00205) 登場人物(ハンドル)=まゆこ/名前を入れてください
- チャット2(ログナンバー00209) 登場人物(ハンドル)=あ・た・し♪/名前を入れてください
- チャット3(ログナンバー00214) 登場人物(ハンドル)=名前を入れてください/L
一 試写会に行こう!
事件の提示(ビデオ映画)=劇場の上手袖で海藤武雄が襲われる。鍵はかかった状態。解決編を欠く
依頼1=ビデオ関係者による解決編(の仮説)の吟味
二 『古丘廃村殺人事件』
仮説1(中城順哉) 問題認識=密室殺人・物理トリック
- 犯人=不明
- 方法=徒歩で屋外から窓を通じて侵入。襲撃後、同様に逃走
- 難点=窓の外に侵入・逃走の形跡なし。犯人を特定できない。侵入前に目撃される危険性
三 『不可視の侵入』
仮説2(羽場智博) 問題認識=密室殺人・物理トリック
- 犯人=鴻巣友里
- 方法=ザイル(準備されたが不使用)を利用して二階から窓を通じて侵入。襲撃後、同様に逃走
- 難点=立て付けが悪く、窓を開けるのが困難
四 『Bloody Beast』
仮説3(沢木口美崎) 問題認識=スプラッタ・超自然的現象
- 犯人=怪人
- 方法=壁抜けにより侵入。今後、男女一組を残して連続殺人に発展
- 難点=撮影の準備不足(血糊・凶器・特殊メイク)。死者が一人のみ
五 味でしょう
仮説1〜3を否定 →依頼2=解決編の導出
六 『万人の死角』
仮説4(折木奉太郎) 問題認識=「本郷の真意」(198頁)の復元
- 犯人=カメラマン
- 方法=カメラを止めた後でマスターキーを用いて侵入。襲撃後、ロビーに戻る
- 問題認識=叙述トリック 登場人物にとっては犯人が誰かは自明だが、観客にとっては謎
七 打ち上げには行かない
仮説4の吟味(伊原、福部、千反田)
- 難点=ザイルの不使用。本郷の参照した書物に叙述トリックは存在しない。本郷の心境とそぐわない
- 結論=論理的には成立するが、「本郷の真意」ではない
仮説5(折木奉太郎) メタレベルへの推理=映画の内容ではなく、製作に関する推理。
- 問題認識=「本郷の脚本では、死者は出ないはずだった」(240頁) 殺人事件ではない
- 推理=撮影された映像が脚本を逸脱し、傷害が殺害に変化。そのため、解決不可能となった脚本を、推理大会という形のシナリオコンテストで救済
八 エンドロール
- チャット1(ログナンバー00299) 登場人物(ハンドル)=まゆこ/名前を入れてください
- チャット2(ログナンバー00313) 登場人物(ハンドル)=あ・た・し♪/名前を入れてください
- チャット3(ログナンバー00314) 登場人物(ハンドル)=ほうたる/L
仮説6(ほうたる) 問題認識=傷害
- 犯人=鴻巣友里
- 方法=ザイルを使って右側控え室の窓から侵入、襲撃後、同様のルートで二階に戻る。海藤は犯人をかばって自分から上手袖に入り、鍵をかける(密室の成立)